ロマーニャ産「スクアッケローネ」は繊細でクリームのようにトロけて、フレッシュミルクの味わいです。
スクアッケローネの生産
スクアッケローネ・ディ・ロマーニャは2012年DOP保護原産地呼称に認証されました。外皮が無いため塗りやすく、ソフトでクリーミーなチーズです。生産地域はロマーニャ州のリミニ、フォルリ・チェゼーナ、ラヴェンナと、生乳が生産されるエミリア州のボローニャ、フェッラーラの一部です。水分を多く含んで柔かいことからスクアックエローネと呼ばれますが、もとは家庭で作られるチーズでした。新鮮な状態でチーズを長期保存するため、寒い冬の間に作られていました。スクアックエローネはフレッシュさが重要で、10日間ほどしか保存できない新鮮でデリケートなチーズです。
スクアッケローネの味わい
スクアッケローネ・ディ・ロマーニャは、エミリア・ロマーニャ一帯で飼育されるフリーゾナ・イタリアーナ、ブルーナ、ロマニョーラなど、伝統品種牛の生乳から作られます。この牛の餌には、プロテインと糖分、消化しやすい繊維やさなざまな栄養価を多く含む地域内で栽培されるアルファルファが含まれています。このチーズの特徴は、まずソフトでクリーミーなこと。すぐにトロけるため、食べ方に特徴があります。味は甘味があってデリケート、ほんのり酸味があり、草原の香りが感じられます。パールのように輝く白さで、ミルクの風味が美味しさの秘訣です。スクアッケローネは、ルーコラを挟んだ温かいピアディーナとの組み合わせが有名ですが、他にもルーコラやカラメリゼしたイチジク、モスタルダや蜂蜜とも良く合います。
スクアッケローネ・ディ・ロマーニャのDOP保護原産地呼称
スクアックエローネ・ディ・ロマーニャDOPは、規定で義務付けられた工程を守って生産されています。何世紀にも渡って伝わった生産方法に従い、保存料を一切加えず、地方の伝統を尊重しながら今も継承されるチーズです。今日では市場への迅速な対応と供給管理が課題とされています。スクアッケローネ・ディ・ロマーニャがDOP保護原産地呼称に認証されたことで、市場への対応の第一歩となりました。
山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。