ヴァッレ・ダオスタ産フォンティーナ・チーズ

ヴァッレ・ダオスタ州ブルッソンのオート・ヴァル・ダイヤ・チーズ組合のオーガニック乳製品は、夏の間高原で放牧される赤い斑点と黒い斑点を持つ2種のヴァルドスターナ牛の生乳から作られます。

ヴァッレ・ダオスタ州のヴァル・ダイヤは山岳地帯で、数百年も前から放牧による乳製品の生産を継承する伝統酪農産業を誇りにしています。ブルッソンはヴァルドスターナを臨む素晴らしい風景が有名な地域で、ここで生産されるチーズにフォンティーナDOPがあります。この地域は2005年にオーガニック乳業と認証され、オ・ヴァル・ダイヤ・オーガニック・フォンティーナを生産する組合があります。ヴァッレ・ダオスタで唯一、オーガニックに認証されているフォンティーナです。

オ・ヴァル・ダイヤチーズ

フォンティーナは、生乳と塩、酵母、レンネットで作る特徴のある平たく丸い形をしています。外皮は硬くて薄く、茶色です。90日以上の熟成が義務付けられ、長いものになると150日を超え、中身は薄い色から濃い色へと変化します。熟成期間が長くなるにしたがって外皮は硬くなります。中身は生産される時期によって弾力性がある場合と柔らかい場合があり、独特の小さな穴があいています。色はアイボリーから濃い黄色までバリエーションがあります。とろけるような食感でデリケートな甘みがあり、熟成が進むにしたがって味わいは深くなります。夏の間に放牧されている牛の生乳で作るチーズは、より味わい深く仕上がります。

オ・ヴァル・ダイヤチーズ

2002年に設立されたオ・ヴァル・ダイヤ・チーズ組合は、州内で最も重要な酪農会社のひとつで、50の牛舎を運営し、年間2.500トンの牛乳を加工しています。新鮮な生乳の80%はフォンティーナに使われ、その数は年間23.000個におよびます。ヴァル・ダイヤの多くの酪農家が集まり組合の乳製品工場の設立に至ったのは、経済的負担や施設投資を分担することができたからです。こうして生産以外にもマーケティングを強化しながら販売を進めてきました。今では山岳の広大な牧草地帯の放牧に適した畜産業を活性化させています。その上地域の伝統種の乳牛、特に赤い斑点と黒い斑点のヴァルドスターナ牛の良質の牛乳も販売促進しています。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。