クラウディオ・ガッティが作る絶品コロンバ

エミリア・ロマーニャ州タビアーノで活躍するマエストロ クラウディオ・ガッティは、バターをひかえた美味しいフォカッチャとコロンバを作っています。伝統と良質の材料を大切にしながら、毎年新しいオリジナル・スイーツを生み出しています。

クラウディオ・ガッティのパスティチェリア・タビアーノ

パスティチェリア・タビアーノは、ガッティが1988年に協力者を得てパルマの丘にある小さな村タビアーノ・テルメにオープンしました。それ以来パスティチェリア・タビアーノは常に家族で経営されています。クラウディオ・ガッティのスイーツは全て、伝統と品質を守るために生産から包装まで手作業で作っています。2004年からはブリジゲッラ品種のエクストラ・バージン・オリーブオイルを使ったフォカッチャとパンドルチェが注目されるようになりました。タビアーノのコロンバはコロンバとは言っても、実際には甘く発酵させたフォカッチャです。自然発酵と作業の全行程には約36時間かかります。

クラウディオ・ガッティが手作業で作るフォカッチャ

フォカッチャの生産は今もほとんどの工程を手作業で行っています。原材料の厳選はクオリティの高い製品を作る重要なポイントです。小麦粉と卵、砂糖漬けのフルーツ、バター、ブリジゲッラ品種のエクストラ・バージン・オリーブオイルなどの材料は、地元で有機栽培されています。4時間ごとに材料を混ぜる必要があるため、細心の注意を必要とする酵母からスタートします。16時間の作業後、夜になってできあがるイースト菌と小麦粉、砂糖、卵、バター、蜂蜜、フルーツを混ぜた生地を型にいれます。生地は温度と蒸気、そして湿度を管理した温かい部屋で寝かせます。12-14時間たった後、生地に砂糖や粒砂糖でデコレーションします。焼きあがると、上下を逆さまにぶら下げた状態で8-10時間かけて常温で冷まします。冷めたフォカッチャに香りや味付けするため、それぞれのタイプにあったシロップを吹きかけます。

クラウディオ・ガッティが作るフォカッチャの栄養価と種類

ガッティはフォカッチャの生産に充分な発酵と柔らかさを損なうこと無く、バターの量を減らしました。パスティチェリア・タビアーノのフォカッチャの脂質含有量は11,3%です。ラベルにはわかりやすいように原材料と栄養成分だけでなく、原材料の産地も記載しています。フォカッチャは涼しく乾燥した場所で保存し、できあがり後20日以降に食べるのが理想的です。生地は3週間経つと風味と個性が最大限に引き出されるからです。マラスキーノ酒からグランマルニエ、ビールから緑茶、パルミジャーノ・レッジャーノ・クリームやバルサミコ酢、またパルミジャーノ・レッジャーノ・クリームと胡椒など、フォカッチャとコロンバの新しい味のバリエーションは益々広がっています。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。