エトナ火山を彩る黄色いレモン

エトナ山のレモンは、カターニャの15の市町村で栽培されています。原産地保護の認可の待機中ですが、生産者たちは州農業組合の援助を受けて新計画を進めています。

レモンの熟す晩秋から冬の終わりと春から夏にかけては、黄色い斑点がたわわに見える広大な緑の茂みがエトナ山の麓の段々畑をおおいます。シチリア島東部メッシーナからカラタビアーノまで続くカターニャ地域、海抜0mから400mに位置し面積250㎢を越える15の市町村でエトナ山レモンは栽培されています。

エトナ山産レモンのさまざまな用途

エトナ山のレモンは果汁が30%以上で、大変に芳醇な香油を含んでいます。
この特質のために香油を抽出する工場や、加工品、そしてジュースや砂糖漬けする工場が沢山あります。大きさと形、皮の薄さ、色、皮の様子などによって、さまざまに用途が変わりますが、種の数、果汁の含有量やその成分、開花時期やフルーツの熟す時期も大切な要素です。ザガラ・ビアンカはそのままの使用に適し、モナケッロは加工場に送られます。レモンは四季咲きに属するため、各収穫期に合わせた市場があります。本咲きの果実「冬レモン」のビアンケットやマイオリーノは3月から5月に収穫され、ヴェルデッロは8月末から9月初めに収穫されます。

商標と生産者組合

レモン栽培はシチリア島の誇りで、1900年代初頭シチリア島は世界有数のレモン産地でした。しかし木の病気であるかいよう病やシチリア農業システムのもろさなどによって危機にさらされました。グローバル化の波に押され、競争力が極めて弱いことを思い知らされたのです。過酷な手作業によって収穫を行うため生産価格が高いにも関わらず、エトナ山産レモンの価格は下落しました。 エトナ山レモン生産者組合は、識別商標「エトナ山産レモン」を共有することにしました。こうして生産者がひとつになり、エトナ山地域で栽培されるレモンであることを証明できるようになりました。またレモンが典型的な特性を有していることが、検査機関によって証明されています。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。