「焼肉LaBettolaラ ベットラ」で特別ランチ会開催
トップシェフにして「愛媛のお魚PR大使」の落合 務さん。
愛媛県が誇る極旨の養殖魚「媛スマ」を
イタリアンの技でとびきりのおいしいコース料理に

「媛スマの新しい形のカプレーゼサラダ」。コースの最初のひと皿から新鮮なおいしさでゲストたちを驚かせた。スマの養殖魚「媛スマ」を愛媛県産のやや甘めの醤油でヅケにすることで深みとキレのある味わいに。レモンやトマトの酸味、粒コショウの香り、からすみの塩味がほどよいアクセントに。

“柑橘王国”と呼ばれる愛媛県が、じつは魚が豊富に獲れる”水産王国”でもあることは意外に知られていなようです。そこに注目したのが、日本のイタリア料理の発展に貢献を続ける落合務シェフ。「愛媛県のお魚のおいしさを広く伝えたい」と、魚を中心に柑橘や野菜、調味料など、愛媛県の多彩な食材をふんだんに取り入れたランチ会で、食に精通したグルメたちを魅了しました。

「媛スマ」を中心に愛媛の魅力、
おいしさを存分に味わってほしい

今春、落合務シェフは自ら展開する店舗のひとつ「焼肉LaBettola」に食にこだわるインフルエンサーたちを集め、愛媛県の食材をイタリアンの技で味わうランチ会を開催しました。この会のために落合シェフが用意したメニューは9品。いずれも工夫を凝らした料理で、しかも、鯛や太刀魚、スマなどの魚から、野菜や柑橘類、カラスミなどの加工品や醤油などの調味料に至るまで、ふんだんに”愛媛の味”をコースに取り入れて参加者たちを唸らせました。

落合務シェフ特別コース「EHIME」9品


Himesuma alla Caprese Moderna
媛スマの新しい形のカプレーゼサラダ

Himesuma Marinatura al Affumicata
媛スマのディルマリーネ燻製

Tartara di Himesuma e Orata in Limone
媛スマと愛媛県産真鯛のタルタルレモンケース

Carpaccio Misto Himesuma Orata e Buri
媛スマ、愛媛県産真鯛、愛媛県産ブリのカルパッチョ

Amadai in Padella Salsa Brocoletti
愛媛県産甘鯛の鱗焼きブロッコリーピュレのソース

Risotto alla Ochazuke
媛スマ、愛媛県産真鯛、愛媛県産ブリのリゾット茶漬け

Hamburger Fritto di Pesce Coltello
愛媛県産太刀魚フライのミニバーガー

Spaghetti al Riccio
ウニッコリーのスパゲッティ

Dolce alla Bascona
バスクチーズケーキ 愛媛県産柑橘のソース


今回のランチ会のメイン食材は、「媛スマ」。
「媛スマ」とは、愛媛県が愛媛大学との共同研究によって開発に成功したスマの養殖魚で、「全身がマグロのトロのような脂ののり」と近年、人気が高まっています。また、こうした養殖魚は、国際的に厳しい資源管理が続くクロマグロなどに代わる食材しても関心を集め、さらにクロマグロなどに比べて小型であることから、扱いやすさの面でも評価されています。
こうした点から、落合シェフも「媛スマ」に注目。「愛媛のお魚PR大使」として、「媛スマ」のよさが活きるようなランチコースの構成に力を入れたと言います。

落合シェフが自ら厨房に立ってゲストをもてなしたランチ会のメイン食材は、愛媛県が推奨する「媛スマ」。天然のスマを用いた養殖の研究には2013年頃から取り組み、2016年に完全養殖に成功。2017年から定期出荷を開始した。全身トロとまでいわれるほど脂のりのよい「媛スマ」が誕生した。

天然のスマは漁獲量が極めて少ないことから、幻の高級魚とも呼ばれていますが、天然だけに脂ののりや味わいなどには個体差があります。その点、養殖魚の「媛スマ」は、安定した脂ののりで、また、2017年の出荷開始から4年以上を経て、「改良が進んでよりおいしくなっているように思います」と愛媛県の担当者は印象を語り、「おいしさには自信があります。多くの人に知っていただいて、さまざまな料理に取り入れていただけたら」と続けます。

前菜、メイン、シェフのスペシャリテのウニのスパゲッティ、
そしてデザートにも愛媛県の食材を活用

「媛スマ」について落合シェフは、「そのままでももちろんおいしいのですが、愛媛県産の甘めの醤油でヅケにしたり、柑橘やワサビの風味を添えたりすると、旨味がキュッと締まって、よりキレのある味わいになります。『媛スマ』の脂に、オリーブオイルやマヨネーズの油を合わせるのもおいしさを引き出す方法のひとつで、コク深い風味が実現します」とアレンジ法について具体的に説明してくれました。
また、非常に脂ののりがよいので、燻香と相性がよいというのも「媛スマ」の特長。落合シェフは、この点を強調した料理もコースに組み込んでいます。

「媛スマのディルマリーネ燻製」。「媛スマ」の脂のりのよさは強めの燻香にも負けず、燻香がチーズのクリーミーさと調和して、なんとも繊細で複雑な味わいを生む。
「媛スマと愛媛県産真鯛のタルタルレモンケース」。「媛スマ」は軽くあぶってから昆布とレモンでマリネ。真鯛は昆布締めに。これらを自家製マヨネーズやオリーブオイル、ワサビなどで和えた。絞るレモンの量で風味が変えられるのも楽しい。
「媛スマ、愛媛県産真鯛、愛媛県産ブリのカルパッチョ」。「媛スマ」に合わせたのは昆布、ワサビ、バルサミコなどをきかせたソース、愛媛県産真鯛にはおろし玉ネギとアンチョビなどを合わせたソース、愛媛県産ブリには自家製マヨネーズに愛媛県産の「すじ青のり」を混ぜたソースという具合に、それぞれの魚に異なるソースを添えた。ワカメの近縁種である「ひろめ」と呼ばれる海藻も加えて小気味よい食感に。
「媛スマ、愛媛県産真鯛、愛媛県産ブリのリゾット茶漬け」。出汁は、鶏のコンソメと昆布出汁1:1に、バターやパルミジャーノチーズなどを加えた。これに少量のワサビを添えるとまさにリゾット茶漬けに。落合シェフならではのオリジナリティー溢れるひと皿。

「メインは『媛スマ』ですが、ただし、昨年から愛媛県を複数回訪ねてみて、真鯛、甘鯛、ブリや太刀魚など、『媛スマ』以外にも良質な魚が獲れることを知りました。せっかくのランチ会ですから、こうした魚も取り入れることでコースにメリハリが生まれると考え、今回のコースが決定したというわけです」と落合シェフ。

「愛媛県産甘鯛の鱗焼きブロッコリーピュレのソース」。しっとり上品な甘鯛の身とカリカリに仕上げた鱗との食感の違いがおいしさを際立たせる。付け合わせのタケノコとブロッコリーのピュレが春の訪れを印象づけるひと皿。
「愛媛県産太刀魚フライのミニバーガー」。愛媛県は太刀魚の漁獲量もトップクラス。太刀魚の上質な味わいを活かしたミニバーガーは、ワンランク上のレストランの味。

さらにシェフが、愛媛県食材で注目したものがもうひとつ。それが「ウニッコリー」です。これは、食用にならない種類のウニであるガンガゼウニを食べられるように改良したもの。ガンガゼウニといえば、海藻や魚を食べ尽くすほか、サンゴまでかじるということで、海の嫌われものとされています。愛媛県愛南町では、このウニに町特産のブロッコリーを食べさせることで、そうした被害を防ぐだけでなく、それ自体をおいしく食べるという、まさにサステナビリティの実現に成功。苦労の末に誕生したウニについては、エサのブロッコリーにちなんで「ウニッコリー」と名付けました。

落合シェフのもっとも有名なスペシャリテのひとつに、「新鮮なウニのスパゲッティ」があり、これはシェフが、なんと26年も大切に守り続けている味ですが、今回のランチ会では、この料理に、「ウニッコリー」を使用。参加者にはデモンストレーションで作り方を披露してくれました。

「ウニッコリーのスパゲッティ」。愛媛県産の「ウニッコリー」を使ったスパゲッティは豊かなウニの風味ととろけるようなソースが特長。「ウニッコリー」には、エサとしてブロッコリーのほか、愛媛県特産の河内晩柑も与えているという。
「バスクチーズケーキ 愛媛県産柑橘のソース」。まろやかな風味のチーズケーキに彩を添えるのは、柑橘王国特産の伊予柑のさわやかなソース。

「目の前で落合シェフが作ってくださったお料理を堪能できて感激」
「9品、すべて素晴らしかった」
こうした参加者の声に、笑顔で応える落合シェフ。
「愛媛県の食材は、いずれも素晴らしかったけど、僕としても頑張ったと思うよ。それをみなさんが評価してくださり、喜んでくださってよかった」
「愛媛のお魚PR大使」としての役目も果たし、最後には満足そうな表情も見せてくれました。

イタリア料理の熟練の技と多彩な愛媛県食材との融合——
創意工夫の料理で愛媛県の魅力を印象づける賑やかなランチ会になりました。

落合 務さん

フランス料理を志してニューオータニに入社するが、その後、イタリア料理に転向。1978年に渡伊し、4年間の修業生活を送る。帰国後、赤坂の「グラナータ」の料理長を経て、1997年、銀座に「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」をオープンさせた。その他、「焼肉ラ・ベットラ」など、複数の店舗を展開。『ラ・ベットラ 落合務のパーフェクトレシピ』(講談社)はじめ、著書多数。現・日本イタリア料理協会名誉会長。

焼肉ラ・ベットラ
東京都港区新橋1-17-2 ダイワロイネットホテル1F
TEL 03-6206-7977
17:00~23:00(21:00LO)
日・月休

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子