愛媛フェア2024 開催中
「アロマフレスカ」

イタリア料理のトップシェフが魅せる
美しく華やかな柑橘使い

フェアのひと品として原田シェフが創り出したのは「愛媛県産温州みかんのジェラート 甘平 日向夏とパッションフルーツのソース」。「甘平」や「温州みかん」の甘味と日向夏のほどよい苦味を調和させた上質な大人のデザート。

「アロマフレスカ」というレストラン名にオーナーシェフの原田慎次さんが込めた思いは、フレッシュな香りを大切にすること。この店名にふさわしく、色彩の美しさはもちろん、ふくよかな香りにもこだわって、洗練のひと皿を提供し続けます。長年、多くのグルメたちが通う銀座の名店「アロマフレスカ」。今回の愛媛フェアでも、原田シェフは、愛媛県自慢の食材の可能性を最大限に引き出した料理でゲストを魅了します。

愛媛県産の「甘平」と「温州みかん」が主役の
フレッシュさと食感が楽しい余韻あるデザート

温かみのある器の中で、フレッシュな香りを放つフルーツとつやつや輝くやジェラート……。このデザートには、原田シェフの仕掛けとこだわりがあります。
使われている愛媛県産の柑橘は、「甘平」と「温州みかん」。これらを主役に、日向夏とパッションフルーツのソースを添えています。

「甘平」は、果汁たっぷりで香りさわやかな「西之香」に、濃厚な味わいで薄皮が特徴の「ポンカン」を掛け合わせて誕生。収穫期は2月上旬から3月中旬までで、皮が薄くて甘味が強いのが特徴。

「『甘平』は湯むきにし、なめらかな食感の邪魔にならないように、アルベド(白いすじ状の繊維)などもすべて取り除いています。イメージとしては新鮮なままのフルーツを、缶詰感覚でツルンと味わっていただけたらと思います」と原田シェフ。
「甘平」は1分ほど湯に浸けてから皮をむき、さらにもう1分ほど浸けるとアルべドまできれいに取れるそうで、「レストランで食べるものは、美味しく手間なく味わいたい──そんなお客さまの要望に応えたいので、常にこうした工夫をするように心がけています」と続けます。

非日常の美食の世界を堪能するのにふさわしい、明るく華やかな雰囲気の「アロマフレスカ」の店内。

「温州みかん」のほうは絞ってジェラートに。
「さすがに愛媛県は柑橘王国。『甘平』も『温州みかん』も香りがよく、ほどよい酸味で甘味もしっかりしています。
もちろん、そのままでも十分に美味しいのですが、これらの柑橘の魅力を引き立てるには、アクセントとしての“苦味”が必要と思いました。
それで日向夏の苦味をプラスするために、皮ごと強めに絞ってソースにしました。柑橘というのは、絞り方ひとつで風味が変わり、いろいろなアレンジができるのがいいですね」
ソースには、パッションフルーツを加えて、香りと食感に幅を持たせています。
「食感のおもしろさという意味では、もうひとつ工夫があって、ソースの中に小さな粒状のものが見えると思いますが、それはボタニカルウォーターで作ったジュレなんです」

“全身トロ”のような「媛スマ」を用いて
さわやかで軽やかなカルパッチョを提供

今回のフェアでは、このほかに愛媛県のブランド魚「媛スマ」を使った料理も提供予定。
「“全身トロ”と評されるだけあって、脂ののりもよく食べ応えのある魚ですから、ランチのひと皿として提供したら喜ばれるのではないかと思います」
こちらの料理にも、もちろん、原田流の工夫が──。
「脂の美味しさを引き出すには、少し香りをプラスしたほうがいいと思いました。
そこで、まず『媛スマ』の身をアユの魚醤と太白ゴマ油で15~30分ほどマリネすることにしました。どのくらいマリネするかは、個体差や好みにもよりますが、こうすることで、少し身がトロっとします。
これを軽くスモークしたら、皮目だけパリっと炭火で焼いて仕上げるんです」

付け合わせには酸味のあるフレッシュトマトやラデッシュを添え、ロックチャイブや花穂紫蘇などで全体を引き締めます。ラデッシュにフランボワーズビネガーの香りをつけて複雑な味わいを演出しているのも原田シェフならではです。

「愛媛県産媛スマのカルパッチョ仕立て」に用いた愛媛県のブランド魚「媛スマ」は、クセがなく、細やかな脂とやわらかな食感が特徴。魚醤や太白ゴマ油でマリネしてから加熱すると、よりふくよかな味わいに。

「今回のフェアでは、愛媛県の魅力を再認識しました。いろいろな食材を通して実感する生産者さんの情熱と努力。われわれ料理人もそうした方たちの思いを受け止めて、美食への追求を続けなければと改めて思いました」

生産者と料理人──それぞれの「食」への思いが響き合う愛媛フェアから、オリジナリティー溢れる料理が誕生していきます。

原田慎次さん
1969年、栃木県生まれ。高校時代、飲食店のアルバイトで料理の面白さを知る。服部栄養専門学校在学中よりアルバイトをはじめた六本木の「ヂーノ」にそのまま入店し、修業を積む。「ヂーノ」2号店で4年間シェフを務めた後、1998年、広尾に「リストランテ アロマフレスカ」をオープンして独立。2010年、同店を銀座に移し、同じフロアに「サーラアマービレ」を開いた。「アロマフレスカ」はミシュランの星付き店としても注目されている。

アロマフレスカ
東京都中央区銀座2-6-5 GINZA TRECIOUS 12F
TEL 03-3535-6667
11:30-15:00(13:00LO)ランチは水、木、金、土のみ
17:30-22:30(20:30LO)
日、第1月休
http://aromafresca-afsa.com/

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子