食のインフルエンサーたちも美味しさに納得!
愛媛県産の食材をふんだんに使った「媛スマ」ランチ会開催

食のインフルエンサーたちも
美味しさに納得!

愛媛県産の食材をふんだんに使った
「媛スマ」ランチ会開催

2024年2月27日、イタリア料理界を牽引し続ける落合務さんと、新和食を展開する山下春幸さんによるランチ会が開催されました。山下さんがオーナーシェフを務める六本木の「HAL YAMASHITA 東京本店」には食に精通したインフルエンサーたちが集い、そこで出された創意工夫の料理は全部で11品。参加者はいずれも愛媛県自慢の食材による美食の世界に酔いしれました。

「全身トロ」といわれる脂のりのよい「媛スマ」を主役に
調味料まで愛媛県産にこだわったランチ会

愛媛県というと柑橘王国のイメージが強く、温州みかん、甘平、ブラッドオレンジ、レモンなど、多彩な柑橘が挙げられますが、今回のランチ会の主役は、愛媛県で誕生した養殖魚の「媛スマ」です。

真鯛やブリ、マグロなど、天然魚については全国でもトップクラスの漁獲高を誇る愛媛県ですが、水揚げされる天然魚が年々減少傾向にあるのは、この県も例外ではありません。そこで力を入れてきたのが養殖魚の研究・開発。「媛スマ」は、その結果、誕生した養殖魚のひとつで、2017年より出荷が始まりました。
天然のスマは、カツオなどに混ざって水揚げされることもあるのですが、漁獲高は極めて低く、「幻の魚」と呼ばれています。しかし、養殖魚の「媛スマ」は成長が早いだけでなく、脂ののりのよさは「まるで全身トロ」といわれ、その美味しさは料理人たちをも唸らせます。

たっぷりと脂がのり、ほどよく弾力のある身質が「媛スマ」の特長。成長が早く、ふ化後、半年から1年で2キロほどになるという。

今回のランチ会では、そんな「媛スマ」を中心に、愛媛県産の野菜や果物、調味料まで県産にこだわって厳選しています。
「えひめ食のアンバサダー」として、実際に県の生産者のもとを訪れている落合シェフは、ランチ会を始めるにあたり、「本日のランチ会を通じ、『愛媛県にこんなに多くのすばらしい食材があるとは──』と驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。愛媛県の食材の可能性や魅力を実感していただけたら、みなさんの力でそれを大いに発信していただけたらと思います」と語り、「さらに実際に現地で味わう食材の美味しさは格別なので、機会があればぜひ、愛媛県にも足を運んでみてください」と続けました。

「愛媛にはすばらしい食材がたくさん。視察に行かせていただいたおかげで、お料理の新しい発想も生まれました」と落合シェフ。
「Spuma di Carota e Consomme/愛媛あかね和牛、媛っこ地鶏、ニンジン」

そんな落合シェフの最初のひと皿は、コンソメスープにニンジンのムースを浮かせた「Spuma di Carota e Consomme/愛媛あかね和牛、媛っこ地鶏、ニンジン」。「愛媛あかね和牛」や「媛っこ地鶏」などの旨味が凝縮したコンソメの風味と、同じく愛媛県産のニンジンの滋味深さが口の中で調和します。
「2021年に体調を崩すまでは、ニンジンにはあまり興味がなかったのですが、健康を害したのをきっかけに、健康が第一と痛感。ニンジンなどの食材にも注目するようになりました」と苦笑するシェフですが、愛媛県産のニンジンは栄養価だけでなく、美味しさの面でも高く評価できるといいます。

愛媛県産のニンジンの美味しさについては、山下シェフも注目し、メインの牛肉料理に添えています。山下シェフもまた、愛媛県の食材のよさを熟知するひとりで、シェフのレストランでは昨年も愛媛フェアを開催しています。
そんな山下シェフのひと皿目は、「前菜『ウニッコリー天麩羅』/ウニッコリー、醤油」。ウニッコリーとは、ブロッコリーをエサとするウニで、山下シェフは、このウニに愛媛県産の甘めの醤油や愛媛の日本酒をまとわせて、より深みある味わいに。これに大葉を巻いて天婦羅にした前菜は絶品です。

「今回のランチ会では、上質な食材はもちろん、お醤油や日本酒なども愛媛産にこだわりました」と山下シェフ。
「前菜『ウニッコリー天麩羅』/ウニッコリー、醤油」

愛媛「媛スマ」ランチ会 メニュー



Spuma di Carota e Consomme
愛媛あかね和牛、媛っこ地鶏、ニンジン

前菜「ウニッコリー天麩羅」
ウニッコリー、醤油

Carpaccio di Orata e Caprese Moderna
みかん愛たい、フィンガーライム

Tartara di Himesuma in Limone
媛スマ、バジリコ、クルミ

冷菜「媛スマたたき風」
媛スマ

Spaghetti al Neonato di Pesce e Bottarga Bambu Brocoletti
シラス、カラスミ

揚げ物「甘鯛鱗揚げ」
白甘鯛、日本酒

Spaghetti al Riccio di Ehime
ウニッコリー

焼き物「はなが牛を楽しむお野菜の釜焼きと共に」
はなが牛リブロース、はなが牛フィレカツ、ニンジン

甘味「愛媛甘平のあんみつ」
甘平

Gazpaccio
甘平、不知火、ブラッドオレンジ、紅い雫

全11品のボリュームたっぷりのランチコース。日本語表記のみのメニューは山下シェフが、欧文表記のあるメニューは落合シェフが担当した。

「Carpaccio di Orata e Caprese Moderna/みかん愛たい、フィンガーライム」。「みかん愛たい」とは、餌にみかんの果皮を配合して養殖したマダイ。ズケにした「みかん愛たい」の塩味とほどよい甘味が、「紅い雫(イチゴ)」やチーズと調和する。味のアクセントになっているのは、落合シェフオリジナルの調味料“コブサミコ(コブとバルサミコを合わせたもの)”。キャビアもたっぷりの贅沢なひと品。

『焼き物「はなが牛を楽しむお野菜の釜焼きと共に」/はなが牛リブロース、はなが牛フィレカツ、ニンジン』。適度なサシで赤身とのバランスのよい「はなが牛」のリブロースとフィレが味わえるひと皿。「リブロースはダシと醬油に浸けてから1時間ほど低温調理し、炭火焼きに。一方、フィレはカツにしてデミグラソースを添えました」と山下シェフ。石窯で4時間ほど焼いたというニンジンの甘味が肉の旨味を引き立てる。

トップシェフ2人の感性が響き合う
ライブのようなランチ会に参加者たちは大満足

メイン食材の「媛スマ」について、落合シェフが提案したのは、「Tartara di Himesuma in Limone/媛スマ、バジリコ、クルミ」。
「媛スマ」をバジリコやクルミと合わせてカプレーゼに。レモンの器に入れ、味や食感の変化が楽しめるようにとフィンガーライムを添えました。これは、昨年のランチ会でも大人気だったメニューで、「美味しいものはあまり変える必要はないと思いました。ただ、『媛スマ』以外の食材は昨年とは違っていて、またフィンガーライムを添えたのも新しいアレンジです」と落合シェフ。
「イタリア料理独特のバジリコの風味に、柑橘の酸味と甘味、クルミ独特のまろやかな味わいが一体化して、『媛スマ』の脂を上品にまとめています」と、今年のゲストたちにも大評判でした。

「Tartara di Himesuma in Limone/媛スマ、バジリコ、クルミ」

「媛スマ」の脂に、さまざまな薬味や山椒とコショウの風味、ポン酢のジュレやダイコンおろしなどを合わせ、たたき風に仕上げたのは山下シェフ。パンチのきいた旨味溢れるひと皿の完成です。
「脂のりのよい『媛スマ』は本当に美味しい魚なので、薬味とともにかぶりつく感じで楽しんでいただきたいと思い、分厚くカットしました」という山下シェフの言葉に、食べて納得の参加者たち。
「多彩な風味を上手にまとめて、複雑で上質、オリジナリティ―に富んだ料理を生み出す。さすがにトップシェフのなせる技と驚きました」とは、このランチ会のために、わざわざ愛媛県から駆けつけた県の担当者の感想です。

『冷菜「媛スマたたき風」/媛スマ』

さらにこの後、落合シェフが、シラスやウニのパスタという安定の味でゲストたちをもてなすと、山下シェフは、和食ならでは技術を駆使して、白甘鯛を使った鱗揚げを提供。
「白甘鯛は、愛媛県産の魚の中でも非常に高価と聞いていますが、脂の繊細な味わいやきめ細かな身質を見れば、なるほどと納得します。今回は軽く揚げましたが、蒸し料理にも合うと思います」(山下シェフ)

「Spaghetti al Neonato di Pesce e Bottarga Bambu Brocoletti/シラス、カラスミ」(左)と「Spaghetti al Riccio di Ehime /ウニッコリー」。2種のスパゲティーの調理過程として、落合シェフはゲストたちの前でフライパンをふって見せた。

『揚げ物「甘鯛鱗揚げ」/白甘鯛、日本酒』。ふっくら仕上げた白甘鯛の表面はカリカリとした小気味よい食感。その上にはイクラが盛られ、白甘鯛の下にはトリュフ風味のマッシュポテトが。

落合シェフと山下シェフ──感性の豊かさでは共通するものの、イタリア料理と新和食というジャンルの違いが、デザートの最後のひとくちまでゲストを飽きさせない、刺激的で新鮮なコース料理を生み出しました。
このランチ会に関し、山下シェフはこんなふうに感想を語っています。
「落合シェフとご一緒させていただいて楽しかった。まるでジャズセッションのように、お互いの様子を見ながら、押したり引いたり──。参加した方たちにも、そのライブ感を満喫していただけたのではないかと思います」

『甘味「愛媛甘平のあんみつ」/甘平』(左)、「Gazpaccio/甘平、不知火、ブラッドオレンジ、紅い雫」。しめのデザートにも、山下シェフと落合シェフ、それぞれのこだわりが込められている。

今回のランチ会の料理の一部は、落合シェフが経営する「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」「ITALIAN BBQ LaBettola」や、山下シェフのレストラン「HAL YAMASHITA 東京本店」「NADABAN by HAL YAMASHITA」でも楽しめます。両シェフの料理への情熱や躍動感が伝わってくるひと皿をぜひ、堪能してみてください。

落合 務さん(左)
フランス料理を志してニューオータニに入社するが、その後、イタリア料理に転向。1978年に渡伊し、4年間の修業生活を送る。帰国後、赤坂の「グラナータ」の料理長を経て、1997年、銀座に「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」をオープンさせた。その他、「ITALIAN BBQ LaBettola」など、複数の店舗を展開。『「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』(講談社)、『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』(ダイヤモンド社)など、著書多数。現・日本イタリア料理協会名誉会長。

山下春幸さん(右)
世界各国での修業を経て、2003年に「NADABAN DINING」を神戸元町に開く。2007年、六本木に「HAL YAMASHITA 東京本店」を開店し、素材の持ち味を最大限に活かす料理法は「新和食」と評される。その後、国内外で多店舗展開。2018年には、日比谷に「NADABAN by HAL YAMASHITA」をオープンさせた。自身のレストラン経営のほか、障害者支援ボランティア活動、政府関係のアドバイザー、全国各地での講演などにも積極的に取り組む。著書に「レストランは小さなビジネススクール」(アスコム)など。

● ラ・ベットラ・ダ・オチアイ
東京都中央区銀座1-21-2
TEL 03-3567-5656
11:30〜14:00LO、18:00〜21:00(金、土、祝は~22:30)
日、月休
http://www.la-bettola.co.jp

● ITALIAN BBQ LaBettola
東京都港区新橋1-17-2ダイワロイネットホテル1F 
TEL 03-6206-7977
17:00~23:00(21:00LO)
日、月休
http://www.la-bettola.co.jp

● HAL YAMASHITA 東京本店
東京都港区赤坂9-7-4 D-0119 (東京ミッドタウン1F)
TEL 03-5413-0086
11:00~15:00、17:30~23:00
月休
http://www.hal-yamashita.com

● NADABAN by HAL YAMASHITA
東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷2F
TEL 03-6273-3386
11:00〜15:30(15:00LO)、17:30〜23:00(22:30LO)
不定休
http://nadaban.com

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子