愛媛フェア2024 開催中
「クリマ  ディ トスカーナ」

赤身好きにはたまらない「はなが牛」と
旨味たっぷりの「媛っこ地鶏」が主役の絶品イタリアン

出身地である青森県産はもちろん、日本各地で作られた食材を自在に使いこなす「クリマ  ディ トスカーナ」のオーナーシェフ、佐藤真一さん。そんな佐藤シェフは、「食材との出会いは楽しくてワクワクする」と、毎年、日本各地のフェアを開催。今回の愛媛フェアでも、上質で個性的な食材と向き合いながら、新しい美味しさを提供しています。

「はなが牛ロースのグリル トレビスのオーブン焼き」(上)。「『はなが牛』は赤身肉ならではの魅力を備えた素材です。かむほどに広がる肉の旨味──。美味しく召し上がっていただけると思います」と佐藤シェフ。

ほどよく弾力ある食感の「はなが牛」
赤身肉の美味しさを存分に味わってほしい

「サシの入ったやわらかい牛肉も美味しいのですが、僕は、個人的にはしっかりした肉質の牛肉が好きです。かみ応えがあって、かむほどに旨味が感じられる──だから、どうしても使う素材は岩手県の短角牛や熊本のあか牛、そして愛媛県産の『はなが牛』のように、赤身の美味しいタイプになりますね」といって、佐藤シェフは、「はなが牛」のロースを焼き始めました。
愛媛県で飼育されている「はなが牛」の特長は、衛生管理の行き届いた牧場で自社ブレンドの餌を与えられ、のびのび育てられていること。
佐藤シェフは、「届いた肉の状態を見れば、ていねいに肥育されていることがわかります。また、下処理やエイジングもしっかりした状態で届くので、それからの微調整がしやすく、ゲストにもよいコンディションのまま提供できる。生産者さんの努力のおかげですね」という。

今回のフェアのひと品「はなが牛ロースのグリル トレビスのオーブン焼き」は、牛肉以外にも愛媛県産の食材を使っています。
「付け合わせのトレビスも実は愛媛県産。トレビスはチコリの仲間で、赤チコリとかラディッキオとも呼ばれます。食感はやわらかく、チコリ独特のほどよい苦味があって、これが肉料理に合うんです。
このトレビスを今回はアンチョビやケッパーと一緒にオーブン焼きにしました」

仕上げに添えたのは、ケッパーのフリット。薬味的な役割りで、「はなが牛」のグリルをよりキレのある味わいにする。

付け合わせの野菜だけでなく
調味料まで厳選して愛媛県産にこだわる

愛媛フェアを彩るもうひと皿は「媛っこ地鶏とニンジンのリゾット」。
「媛っこ地鶏」とは、「名古屋種」「愛媛系ロードアイランドレッド」「軍鶏(しゃも)」「ホワイトプリマスロック」の四元交配の地鶏で、4種類の鶏を交配させることは非常に手間がかがるため、全国的に見ても珍しいケースとされています。

「脂ののりがよく、ぷりぷりとした食感で、コクのある風味が特長です。クセがないので、さまざまな料理に広く活用できるのではないでしょうか。
日本には、まだ使ったことのない食材がいろいろあると思いますし、こうした地鶏のように研究者や生産者の努力によって生み出されるものも少なくない。
そうしたものにこれからも出会い、どんなふうに調理しようかとイメージするだけでワクワクしてくるんですよ」

「媛っこ地鶏とニンジンのリゾット」。旨味の深い「媛っこ地鶏」を今回のフェアではサルシッチャにしたが、「もっとシンプルな調理、たとえばハーブが香る炭焼きにしても美味しいと思います」と語る佐藤シェフの中には常に複数のアイディアがあって、それを楽しんでいるようだ。

佐藤シェフは、「媛っこ地鶏」をミンチに。これを、塩、ニンニク、ローズマリー、セージなどと合わせてサルシッチャ(食材を腸詰めにしたもの)にしました。
歯ごたえあるライスの甘味とコクに、ほどよい弾力ながらふんわりとしたサルシッチャの旨味が調和する絶品のイタリアンです。
とろりとなめらかで、さわやかな甘味のニンジンのピュレに使っているニンジンやミカンジュースも愛媛県産とのこと。もちろん、ニンジンのガレットのニンジンも愛媛県産。

目にも鮮やかなニンジンのピュレ。愛媛県産のニンジンとみかんジュースをミネラルウォーターでのばして加熱したというこのピュレの味わいは、シンプルにしてピュア。

「実は、リゾットの仕上げに風味付けとしてふりかけた純米大吟醸『はなのえん』だって、愛媛県の地酒なんですよ」とにっこり。
メインの食材だけでなく、付け合わせから調味料まで、徹底して愛媛県産にこだわったフェアの料理からシェフの本気度がうかがえます。

愛媛県の魅力が詰まった渾身のひと皿──愛情たっぷりの料理に、佐藤ファンがまた増えそうです。

リゾットに使っているのは愛媛米。「国産米は粘りがあってリゾットに向かないともいわれますが、一度炊いて寝かしておくと、パラパラとして美味しいリゾットになりますよ」という。仕上げに回しかけたのも愛媛産の日本酒。

佐藤真一さん
青森県出身。高校卒業後、赤坂のイタリアンレストランを経て、1998年に渡伊。「ダル ペスカトーレ」や「エノテーカ ピンキオーリ」などの星付きレストランで5年半ほど修業して帰国。南青山の「リストランテ イル デジデリオ」の総料理長を務めた後、2017年、オーナーシェフとして、本郷に「クリマ  ディ トスカーナ」を開いた。

Clima di Toscana(クリマ  ディ トスカーナ)
東京都文京区本郷1-28-32-101
TEL 03-5615-8258
12:00~15:00(13:30LO)
18:00~23:00(20:30LO)
日、隔週月休
https://www.clima-di-toscana.jp/

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子