プーリア産のパーフェクトな「クレメンティーネ」

栽培実績と高い技術力におごらず、手作業で丁寧にひとつずつ実を厳選する真摯な作業がカンポバッソ社のモットーです。

「職人技」が不可欠なクレメンティーネの生産コストは高騰し続けています。逆風の吹く中、カンポバッソ・ファミリーは国内の市場で大きなシェアを獲得しています。

パラジャーノはプーリア州ターラント市郊外に位置し、豊かな土壌と温暖な気候に恵まれています。クレメンティーネ・デル・ゴルフォ・ディ・ターラントはIGPに認証された最高級品質のクレメンティーネで、この地の気候と土がクオリティに大きく影響しています。フランチェスコ・カンポバッソはこの地域で例外的な存在です。 カンポバッソ社は、丁寧かつ細やかな作業で最高級クレメンティーネだけを生産しています。北イタリアの4大都市、ボローニャ、ミラノ、ブレーシャ、ヴェローナで大部分が販売され、顧客はレストランや専門店、フルーツのブティックです。11月から2月まで、均一で完璧なクオリティのクレメンティーネを出荷していますが、果実をひとつずつ検品することで完璧な出荷を可能にしています。生産工程は一切オートメーション化されておらず、価格も市場の平均を上回ります。

生産品種は、スピノーゾ、フェデーレ、クレメンティーネ・コムーネで、全て種無し品種です。常に農地を広げられるように、新品種の開発にも力を入れています。目標は「お客様により美味しいものをお届けすること」。品種とクオリティにおいて、この農家は向かう所敵なしです。クオリティを高いレベルでキープする秘訣は、各品種をベストタイミングで一気に収穫することです。クレメンティーネのクオリティとは、皮が薄く、赤に近い濃いオレンジ色でバランスの良い酸味があることです。大きさはクオリティと関係ありません。収穫時期を迎えるころに急激に気温が下がると、大きいものは皮が実から剥がれてしまうからです。毎年の生産量は700トンから1000トンに及び、1ヘクタールあたり約50トンを生産しています。1本の木には50kgから150kgの実がなりますが、171kgの実をつける木もあります。

IGP保護地理的表示

カンポバッソ社は、最上級クレメンティーネを生産しているにもかかわらず、IGPクレメンティーネ・デル・ゴルフォ・ディ・ターラントの商標を使っていません。カンポバッソ社独自の商標が、すでに長年の信頼と知名度を市場で獲得しているため、あえてIGPは必要なしと考えているからです。カンポバッソのクレメンティーネは、IGPをはるかに上回る商品価値として国内市場で認知されています。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。