カタラネスカとカーザヴェッキア、新興ワインを生み出す2つのぶどう原品種

カタラネスカとカーザヴェッキア品種は、カンパーニャ州でのみ生産されています。カンパーニャ州によってこの品種の価値が再注目され、ナポリとカゼルタ県など地域経済に大きく貢献しています。

100種以上あるぶどう原品種をブレンドしたワインは、3万ヘクタール以上の土地から毎年1,7千万リットルのワインを生産し、イタリア国内第8位のカンパーニャ州ワイン産業における重要な開拓分野と言えます。

「カンパーニャ州のワイン畑」と呼ばれるこの地域で栽培される品種の中は、有名なフィアーノ、グレーコ・ディ・トゥーフォ、タウラージ、ファランギーナ、アリアーニコなどの古代種があります。この古代品種は、特徴を最大限引き出せるように、栽培地域を「厳格」に規定しています。カタラネスカとカーザヴェッキア品種の栽培が、まさにこのケースに当たります。

ラ・ビアンカ・カタラネスカ

カタラネスカはヴェスヴィオ火山の恵みが生み出す白ぶどう品種で、栽培地帯は標高150〜500メートルです。北部から吹き下す乾燥した山風が湿度の停滞や害虫の侵入を妨ぎ、健康で長期熟成が可能なぶどうが育ちます。
丈夫な茎と分厚い果皮が生み出すしっかりとしたぶどうは、長時間輸送にも耐えることができます。また、充分に熟成して濃縮された果汁を持ち、高い糖度と豊富なフェノール類を含み、空間を満たすような素晴らしい芳香が特徴です。
白ぶどうのカタラネスカは、カタラネスカ白ぶどう85%以上と、適切な生産地域で栽培された同品種最大15%をブレンドしたワイン「カタラネスカ・デル・モンテ・ソンマ」として、IGP(保護地理的表示)に認証され、2種類の白ぶどうとパッシートがあります。

カーザヴェッキアDOC

気候が温暖でヴォルトゥルノ川が流れるアルト・カゼルタでは、ワイン造りのためだけに、黒い果皮のカーザヴェッキア品種が栽培されています。丈夫なぶどうですが、1ヘクタール当たり約3千リットルと生産量が少なく、収穫期は通常9月下旬です。

ワイン生産は、まず温度が制御されたステンレスの容器の中で発酵させます。そしてオーク樽で12ヶ月間熟成させ、その後さらにボトリングしてから寝かせます。

アルコール度数13.5%で濃いルビー色、熟成による素晴らしい香りと味となります。2002年には、”テッレ・デル・ヴォルトゥルノ”としてIGPに認証され、2012年には “カーザヴェッキア・ディ・ポンテラトーネDOC”に認められました。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。