プーリア州ジョイア・デル・コッレのチーズ

モッツァレラ、スカモルツァ、スカモルツォーネ、ブラータ、カチョカヴァッロ、プロヴォローネ、ジュンカータは、いずれもジョイア・デル・コッレ地域の酪農家たちが誇る、長い伝統を持つフレッシュチーズです。

ジョイア・デル・コッレは、プリミティーヴォ・ワインと乳製品の生産で有名なプーリア州バーリ近郊の小さな村です。今では国内外で有名なモッツァレラ、スカモルツォーネ、スカモルツァ、ブラータ、カチョカヴァッロ、プロヴォローネ、その他にカゴに入れて作り削って使うチーズやジュンカータもこの地域で生産されています。地元の酪農業が飛躍したのは、ヴァルテッリーナ州のブルーナ・アルピーナ牛をジョイア・デル・コッレに導入し始めてからです。それでもモッツァレラを始めとするフレッシュチーズが地元以外に流通するようになったのは、20世紀中頃になります。今日地元経済と地域のアイコンとなったこのフレッシュチーズの生産は非常に重要となっています。2013年には歴史ある酪農業者たちが参加して、ジョイア・デル・コッレ酪農組合を設立しました。

ジョイア・デル・コッレ産ブッラータ
ジョーイア・デル・コッレ産モッツァレラ。

ジョイア・デル・コッレのモッツァレラ

三つ編み、球形、結んだものなど形状にバリエーションのあるモッツァレラは、生産過程で餅のような弾力性が生まれ、伸ばしながら作るパスタ・フィラータ(伸ばした練り物)と呼ばれる種類のフレッシュチーズです。材料は、生乳、塩とレンネットです。モッツァレラはデリケートで栄養価が高い上、消化に良く味わい深いチーズですが、新鮮なうちに食べる必要があります。このチーズは、プーリア州ムルジャの森に点在する農家で16世紀に誕生したと言われています。レンネットを加えて36°Cで凝固した凝乳を「モッツァータ」つまり切り分けることから、モッツァレラと呼ばれています。90分ほど寝かせてから、細かく切り分けホエー(乳清)と隔離します。固まったらざっくりとカットし、パスタ・フィラータにするための短冊状に切り分けます。細かく切り分けられた凝乳を熱い湯に入れ、まとまって粘り気が出たところで形をつくって冷たい塩水に入れます。

ジョーイア・デル・コッレ産ジュンカータ。

ジョイア・デル・コッレのその他のチーズ

シチリアの黒蜂は、北アフリカ生まれの西洋蜜蜂かチュニジア西洋蜜蜂の系統です。見かけはシチリア蜂と似ていますが、生産性や行動能力は異なります。西洋蜜蜂はとても攻撃的で大家族を構成せず、頻繁に巣を離れて別の場所に移動します。シチリア蜂と似ているのは、女王蜂が死んだり巣を離れた場合でもひとつの巣に多くの女王蜂がいること、そして冬季も生産出来ることです。どちらの蜂も素朴で風土病の蜜蜂へギイタダニへの抵抗力があり、自己防衛能力がありますが、自ら攻撃することはまれです。シチリア黒蜂は今でも窮地にあり、絶滅を避けるためには保護する必要があることを忘れてはなりません。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。