モッツァレラを使って作るブッラータ

ブッラータは甘く独特な風味のチーズです。とろけるように柔らかく、口の中にはミルクの香りが広がります。

ブッラータは、1900年代初頭アンドリアの農場で生み出されました。繊維状に引き裂いたモッツアレラチーズとフレッシュな生クリームから作られます。長球型か洋梨の形で直径は7-10cm、重さは300gから1kgです。またブッラティーナと呼ばれる100gほどの小ぶりのブッラータもあります。生産は全て手作業で行います。牛乳は濾過し低温殺菌して、前日作ったうちの一部を常温保存して作るナチュラル・ホエー(乳清)を投入して酸性化させます。アンドリアのブッラータは2016年欧州連合の保護表示に認証されました。2017年2月には、ブッラータ・ディ・アンドリアIGP(保護地理的表示)の保護と促進を目的とする組合が設立されました。

ブッラータの栄養価

ブッラータはフレッシュチーズの中でもっとも栄養価の高いチーズのひとつで、100gあたり396kcalあります。またビタミンA、D、E、B1、B2、PPが豊富に含まれています。ミネラルでは、新陳代謝機能を助け骨など組織の形成に役立つカルシュウムとリンを多く含んでいます。15%はタンパク質で、ほかの食品と比べてもその量は豊かです。栄養価が高い分脂肪も35%と多く、3分の2は飽和脂肪であることから、程よい量を食べることが推奨されています。

ブッラータの特徴

あわい香りでミルクのようなわずかな酸味もあります。外側から柔らかで弾力のある繊維質の部分までカットすると、濃厚なクリームと繊維状のモッツアレラチーズが溢れ出します。フレッシュな乳製品独特の甘さで柔らかな食感です。ブッラータはそのまま、もしくは大きく切り分けて食べます。エクストラヴァージン・オリーブオイル少々と、挽きたてのペッパーを振りかけると最高の味わいになります。新鮮なプチトマトとバジルの葉を添える食べ方がもっとも一般的です。ブッラータの味を最大限に引き出すためには、作り立てを冷たいお皿に盛りつけて食べるのが良いでしょう。トロける口当たりとモッツアレラチーズの存在は、野菜をオーブン焼きする際の詰め物にも最適です。またあっさりした味付けの蒸しラヴィオリにもピッタリです。花の香りがするエレガントでしっかりしたボディーで、わずかな酸味のある白ワインとのマリアージュが理想の組み合わせです。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。