プーリア州のハイクオリティなポドリカ牛

ベッティーノ・シチリアーニ社は、プーリア州ターラントのモットラにあるコロンボ農園で、長い角を持つ大きな牛を飼育し、自社工場で最高級のチーズや食肉に加工しています。

ターラントのモットラには、古代に起源をさかのぼるポドリカ牛に関わる畜産学的改革を起こしたコロンボ農園があります。自然飼料を用使用しているため、ポドリカ牛は厳しい環境に対する並外れた適応能力を備え、プーリア州、バジリカータ州、カラブリア州、モリーゼ州、アブルッツォ州の自然環境で、放牧や半放牧で成長できる強い抵抗力があります。ポドリカ牛の存在は地表の有機物質を豊かにし、牛が下生えを食べるために火災予防につながり、環境のために理想的であるとされています。

ポドリコ農園の牛乳と牛肉

ポドリカ牛は労働力として飼育され始めましたが、その後は高品質な牛乳や牛肉のために利用されるようになりました。実際に貴重なイタリア品種の牛肉の生産者組合は、キアニーナ牛、マルキジャーナ牛、マレンマ牛、ロマニョーラ牛とともに、ポドリカ牛を5つの優秀なイタリア品種「5R」として認証しています。コロンボ農園では350ヘクタールに及ぶ敷地内で、670頭が半放牧で飼育され、うち300頭は乳牛、250頭は肥育牛です。自社内で生まれて離乳させた子牛は、生後19か月で600kgになると加工しますが、家畜の飼育から加工製品化までを一貫して自社内で行っています。牛乳は機械で搾乳された後、この地方特産のカチョカヴァッロ・ポドリコチーズやトレッチャ、リコッタ、モッツアレラなどフレッシュチーズに加工するために、自社内のチーズ製造所に運ばれます。生産量が限られるために大変貴重で、脂肪分やタンパク質の豊富な良質で栄養価の高いチーズです。

ポドリカ牛の有効利用を目指す

ポドリカ純血種の生乳に関する管理組織が存在しないことや、搾乳が難しいために高価格なことなど様々な壁はありますが、全てポドリカ牛の有効利用と再評価を目指すための戦いです。自然な環境での飼育は、美味しくて香り高い牛乳と、脂肪分の少ない深い味わいでジューシー、そして歯ごたえのある栄養価の高い牛肉を生み出します。筋肉の色にむらがあることや、カロチンを含むために脂肪が黄色がかっているなどの特徴は、外気に触れる生活をしているためであることを消費者が理解する必要があります。コレステロールが少なくてオメガ3脂肪酸が豊富なことから、健康的な食生活に理想的な食品です。


山田 美知世
京都市出身。イタリア在住40年。月刊女性誌「amarena」の元編集長。現在も日本とイタリアの雑誌と本の取材、及び執筆活動を続ける。イタリアの国家試験オリーブオイル鑑定士試験に合格、資格を取得(イタリア共和国農林食料政策省オリーブオイル鑑定士登録番号 MI.0023278)。イタリア各地、ニューヨーク、東京、イスラエル、トルコの国際オリーブオイルコンテストの審査員を務める。イタリアでは新聞記者と共著の「ARTE DI SUSHI/寿司という芸術」「ラーメン」「日本の家庭料理」「日本酒と日本のスピリッツ」を出版。