銀座「ビストロJ_Oジョー 」で青森フェア開催中
料理のジャンルを超越したシェフが表現する
ジョースタイルのモダンで華やかな美食の世界

華やかでインパクトのある美食の世界を愛する女性たちが集う「ビストロJ_O」。彼女たちをもてなすのは、和・洋・中、あらゆる料理技術を使いこなす亀山大樹シェフです。美しい料理と、それを引き立てるギャラリーのようなスタイリッシュな空間。ひと味違う「青森フェア」は、女性たちの美意識をも満足させます。

ゲストの約9割はおいしいものと
美しいものが大好きな女性たち

銀座にモダンなビストロが誕生したということで、3年前のオープンから注目されてきた「ビストロJ_O」。開店から半年ほどでコロナウイルスの影響を受けることになるのですが、現在はそれを乗り越え、依然、予約の取りにくい店として人気を集めています。
このビストロで、オープン当初から厨房を取り仕切っているのが、亀山大樹シェフです。
「食材については安心できて新鮮で、私たちがおいしいと思えるものだけを吟味しています。さらにその背景に、お客さまが感動するような生産者さんの思いとか開発秘話とか、そういうストーリーがあると、一層、その日のお食事が印象深いものになりますから、私たちとしては、おいしさだけでなく、そういうことも大切にするように心がけています」

亀山大樹さん

1987年、千葉県生まれ。大学卒業後、「リストランテ・ヒロ」に入社。丸ビル店で6年ほどイタリア料理を学ぶ。その後、数多くの飲食店を手掛ける「ワイズテーブルコーポレーション」へ。銀座や六本木のレストランでシェフを務めた後、2019年、「ビストロJ_O」のオープンと同時にシェフに就任。

こうした視点を持ちつつ青森県の生産現場を回った亀山シェフは、「今回のフェアで使っている『青森シャモロック』『はつ恋ぐりん(青リンゴ)』『青い森紅(くれない)サーモン』『ちからいも(長いも)』などは、いずれも長年かけて品種改良に成功したものや、生産者さんのこだわりが詰まった食材だったので、非常に興味を持ちました。人の思いが詰まったものって、やっぱりおいしいんですよね。
また、『あおもりカシス』のように、フェア前から使っている食材もあります」と言う。

「青森シャモロック」は、青森県畜産試験場が20年かけて完成させた高品質な地鶏。青リンゴの「はつ恋ぐりん」は、強い酸味と甘味に加えて食感もよい個性ある食材。

「ビストロJ_O」を訪れるゲストは、約9割が女性。そのためシェフは、「おいしさを追求することはもちろん、見た目の華やかさ、インパクトの強さにもこだわっている」そうです。
今回、その点で特に目を引くのが、「はつ恋ぐりん」を使ったデザートの「ムース ポム」です。バニラクッキーの上に、リンゴのコンフィチュール、リンゴのムースやシロップ漬けなどが重ねられ、リンゴの風味が存分に味わえるこのデザートは、とても華やか。
これが目の前に運ばれてきた時の女性たちの歓声が聞こえてくるようです。

「ムース ポム」。一番下のバニラクッキーの上には薄いチョコレートのコーティングが。「その上にリンゴのコンフィチュールやリンゴのムースなどを重ねていますが、色鮮やかにしたかったので、青リンゴだけでなく、『ふじ』などの赤いリンゴも使っています」と亀山シェフ。

食材のポテンシャルを引き出しつつ、もうひとひねり
洗練されたプロの味でゲストをもてなす

「メイン料理のひとつが、『青森シャモロックを包んだちからいものスフレ』です。『青森シャモロック』は、以前にも使ったことがあり、旨味が強くて肉質もしっかりしているので、加熱には“焼く”と”煮る”の2つを組み合わせようと考えました。モモ肉、手羽先、手羽元等を炭火で焼いてから、さらに煮込む。こうすることで、鶏肉の旨味が一層引き出されるんです」

こうして調理した鶏肉をスフレの生地に包んで焼いたのが、この料理です。
「スフレの生地には、『青森シャモロック』の骨から取った出汁と卵、それと、すりおろした『ちからいも』を混ぜています。
現地で『ちからいも』を視察した時、4年かけて育てている聞いて驚きました。熟成したものとそうでないものを食べ比べてみると、どちらもおいしいのですが、熟成したほうは、ほどよく水分が抜けて粘りがある。これをお好み焼きにしたらおいしいだろうなって思いましたね」
そこで、お好み焼きのおいしさをレストランの味に変換するにはどうしたらよいか——と考えた亀山シェフ。その時、浮かんだのがスフレにするというアイディアだったそうです。同じ皿の上に、ガレットにした『ちからいも』も添えているので、多彩な食感が楽しめます。

「青森シャモロックを包んだちからいものスフレ」。鶏肉と長いもの旨味が調和した滋味深いひと品。スフレの中には、ごろんと大きめの「青森シャモロック」が入っている。

「もうひとつのメイン料理は『青い森紅サーモンのコンフィと緑のカポナータ』です。この料理には、サーモンと青リンゴを合わせました。
『青い森紅サーモン』は脂が強すぎず、食感もよいので、生食でも十分おいしいのですが、コンフィにすると口どけがよくなって、『はつ恋ぐりん』の酸味や、ハーブの香りとの馴染みもよくなると思ったんですね」
「はつ恋ぐりん」は、青トマトと一緒にカポナータに仕上げていて、このカポナータの緑色とサーモンの鮮やかな紅色の対比も見事です。

「青い森紅サーモン」は、ほどよい脂ののりが上品で色も鮮やかと、シェフたちに高く評価されている。

「カポナータの作り方としては、まずエシャロットとセロリをソテーし、次に青トマトとスナップエンドウ、アスパラガスを添えてさらに炒めたら、冷ますタイミングで『はつ恋ぐりん』をたっぷり入れるという感じですね(材料はそれぞれ粗みじん切りに)。
『はつ恋ぐりん』は、甘味と酸味の両方が強いリンゴですが、もし、もう少し酸味がほしいという時には、アップルビネガーなどを使うと、全体的に味が締まります」

「青い森紅サーモンのコンフィと緑のカポナータ」。フェアのカポナータには、「はつ恋ぐりん」を使っているが、亀山シェフは、リンゴの代わりにイチジクを使うことも多いそうだ。

亀山シェフは、大学卒業後、料理業界へ。
「おいしいものを食べたり、料理を作ったりするのが好きだったのですが、料理人になるという意識はそれほどないまま、イタリア料理店に就職。でも、続けているうちにこの仕事が好きになってシェフを目指しました。
そこで、さまざまなジャンルの料理に興味を持って挑戦していたら、いつの間にかイタリアンだけでなく、和・洋・中と、ジャンルを超えて、さまざまな料理ができるようになっていました」と、これまでを振り返ります。
そんなシェフだから、食材についても上手にポテンシャルを引き出し、柔軟な発想でそれらの組み合わせ、完成度の高い料理でゲストをもてなしています。

また、こうした料理を味わうための空間も、それにふさわしく計算されている「ビストロJ_O」。洗練された雰囲気で、アート作品なども多数展示されていることから、ギャラリーのようでもあります。

洒落た空間で堪能する創作料理——。
「ビストロJ_O」では、ひと味違う「青森のフェア」が楽しめそうです。

ビストロJ_O

東京都中央区銀座2-4-6 銀座Velvia館9階
TEL 03-6271-0388
11:00~16:00
17:00~21:00
月休
https://friendshop.tokyo/

●青森フェア 開催期間 2023年2月6日~3月5日

問い合わせ先
青森県農林水産部総合販売戦略課
TEL 017-734-9573

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子