日本のイタリア料理界を代表するシェフにして、今やYouTuberとしても人気を集める「リストランテ アクアパッツア」の日髙良実シェフ。福岡県には何度も足を運んで、さまざまな食材にふれ、生産者とも交流してきました。福岡県にはお気に入りの食材が多いという日髙シェフのお店では、今年もフェアを開催中です。

福岡の食フェア、「アクアパッツア」で開催中
福岡県の食材に精通した
ベテランシェフによる絶品イタリアン

日本のイタリア料理界を代表するシェフにして、今やYouTuberとしても人気を集める「リストランテ アクアパッツア」の日髙良実シェフ。福岡県には何度も足を運んで、さまざまな食材にふれ、生産者とも交流してきました。福岡県にはお気に入りの食材が多いという日髙シェフのお店では、今年もフェアを開催中です。

「博多春菊」「博多蕾菜」「博多和牛」「糸島カキ」などの生産現場を訪ねて、「福岡県の豊かな自然と生産者さんたちの熱意に感心しました」と日髙シェフ。

安全でおいしい食材は、豊かな自然と生産者の熱意、
県の手厚いサポート体制から生まれる

イタリア料理に関する数多くの著書を出版し、日本のイタリア料理界を牽引してきたひとりと尊敬を集める日髙シェフ。コロナ禍になってからYouTubeを始めて、今、その内容が「料理初心者にもわかりやすい」「プロのテクニックが学べる」と話題となり、アクセス数を増やしています。
「僕のチェンネルを見た人の中には、『映像を見ていたら、実際にシェフの料理を味わってみたくなった』とか、『記念日にはぜひ、ホンモノのイタリア料理を堪能したい』と来店してくださる方も多い。新しいお客さまも増えました」と日髙シェフ。
大御所でありながら、YouTubeという世界で、これまでとは違ったアプローチを続ける前向きな姿勢は、産地を訪ねた際も変わりません。
「福岡の食フェア」のための現地視察でも、積極的に生産者の話に耳を傾け、次々と質問をしていきます。
その結果、「福岡県には情熱ある生産者さんが多く、また県のサポート体制もしっかりしているので、今回もいいフェアになると思います」と語っていました。

こうしたフレッシュな感覚が、常にオリジナリティー溢れる料理を生み出す原動力になっているのでしょう。

普段は柔和の表情の日髙シェフだが、食材を前にするとやや厳しい表情に。「『博多なす』はアクが少なくてやわらか。『福岡有明のり』は香りがよくてふくよかな味わい。前回のフェアでは、『福岡有明のり』を使ったクリーム仕立てのパスタの評判もよかったですよ」。
普段は柔和の表情の日髙シェフだが、食材を前にするとやや厳しい表情に。「『博多なす』はアクが少なくてやわらか。
『福岡有明のり』は香りがよくてふくよかな味わい。昨年のフェアでは、『福岡有明のり』を使ったクリーム仕立てのパスタの評判もよかったですよ」。
『福岡有明のり』は香りがよくてふくよかな味わい。昨年のフェアでは、『福岡有明のり』を使ったクリーム仕立てのパスタの評判もよかったですよ」。

日髙シェフが、今回の食材として選んだのが、「博多和牛」「はかた地どり」「特鮮 本鰆」「あまおう」。
「博多和牛」と「はかた地どり」については、味のよさはもちろん、牛や鶏が衛生的な環境で肥育されていた点も気に入ったそうです。
「たとえば、丈夫で大きな牛を育てるには、牛の胃袋から丈夫にする必要があるそうで、『博多和牛』の生産者さんは、そのための稲わらから自分で手掛け、エサにビールかすを混ぜるなど手間を惜しまずに世話をされていました。さらに暑さ対策や換気のために扇風機を設置したり、いろいろと工夫されていました。
「はかた地どり」については農場HACCPの認定を取得した農場もあり、また、むね肉には、認知機能の低下を抑止する効果が期待されるとして、消費者庁の機能性表示食品に認められたと聞いています。
やはり食材には安心、安全なものを選びたいし、こうした話をお客さまにすることで、料理を一層おいしく食べていただくことにもつながるのではないでしょうか」

「博多和牛のロースト 季節の野菜添え」 「博多和牛」の部位はランイチ。シンプルな料理だけに、素材のよさとほどよい火加減が決め手となる。「牛舎を訪ねた際、きちんと管理された環境で、エサにもこだわって肥育されていたので、フェアではぜひ使ってみたいと思っていたんです」と日髙シェフ。
「博多和牛のロースト 季節の野菜添え」
「博多和牛」の部位はランイチ。シンプルな料理だけに、素材のよさとほどよい火加減が決め手となる。「牛舎を訪ねた際、衛生管理された環境で、エサにもこだわって肥育されていたので、フェアではぜひ使ってみたいと思っていたんです」と日髙シェフ。

「博多和牛」は、フェアのメイン料理のひとつ「博多和牛のロースト 季節の野菜添え」に使用。サシの入り具合がほどよいので、和牛の脂が少し重く感じる人にも喜んでもらえるのではないかと言います。
「サシの多い牛肉もそれはそれでやわらかくておいしいのですが、もう少し脂があっさりとしていて旨味のある和牛が食べたいという方には、『博多和牛』がおすすめです。
また、『はかた地どり』のほうはじっくりと焼いてから、パスタや野菜とともにスープ仕立てにしました。こちらもやさしい味わいで、鶏の旨味を十分に味わっていただけると思います」

「はかた地どりのトルテリーニ インブロード」 「はかた地どり」のもも肉は、表面を香ばしくカリカリに焼き上げる。これを食べやすい大きさにカットして鶏のブロードの中に入れ、野菜や「はかた地どり」のむね肉を詰めたパスタと一緒に煮込む。
「はかた地どりのトルテリーニ インブロード」
「はかた地どり」のもも肉は、表面を香ばしくカリカリに焼き上げる。これを食べやすい大きさにカットして鶏のブロードの中に入れ、野菜や「はかた地どり」のむね肉を詰めたパスタと一緒に煮込む。

使い慣れた食材については
新しい表現法でおいしさを追求

「福岡県は魚介類も豊富で、12月にカキ小屋でいただいた『糸島カキ』も絶品でした。生産者の方たちは寒風が吹きすさぶなか作業をされていて、『おいしいカキはこうした方々の努力で我々のもとに届くんだなぁ』と痛感させられました。
また、フェアの食材として選んだ『特鮮 本鰆』も肉厚で脂ののりがよく、調理しがいのある食材のひとつです。実は福岡県産の鰆は、以前から使っている食材なのですが、今回はコンフィにして福岡産の菜の花と合わせるなど、少し表現を変えてみました」

「特鮮 本鰆のコンフィ 菜の花のアーリオ・オーリオ添え」 「特鮮 本鰆」はコンフィにして冷ましてから皮目を炙る。付け合わせの福岡県産の菜の花は、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子でソテーしたものと、茹でてピュレにしたものを添えた。コンフィの下に盛りつけたアサリのピュレがより深い味わいに。
「特鮮 本鰆のコンフィ 菜の花のアーリオ・オーリオ添え」
「特鮮 本鰆」はコンフィにして冷ましてから皮目を炙る。付け合わせの福岡県産の菜の花は、オリーブオイル、ニンニク、唐辛子でソテーしたものと、茹でてピュレにしたものを添えた。コンフィの下に盛りつけたアサリのピュレがより深い味わいに。

さらにデザートには、「あまおうのティラミス」を用意。果実の中まで真っ赤な鮮やかさと大きさを強調したいと、たっぷりのクリームの上に輪切りにした「あまおう」をのせて仕上げたそうです。フェアにふさわしい、華やかで食べ応えあるデザートの完成です。

「あまおうのティラミス」 「あまおう」の特長である、「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」を活かしたティラミス。スライスした「あまおう」の下には、ティラミスのクリーム、サヴォイアルディ(フィンガー・ビスケット)、刻んだ「あまおう」、ルバーブのジャムなどが隠れている。ココアパウダーの代わりに、フランボワーズのパウダーを散らして華やかに。
「あまおうのティラミス」
「あまおう」の特長である、「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」を活かしたティラミス。スライスした「あまおう」の下には、ティラミスのクリーム、サヴォイアルディ(フィンガー・ビスケット)、刻んだ「あまおう」、ルバーブのジャムなどが隠れている。ココアパウダーの代わりに、フランボワーズのパウダーを散らして華やかな印象に。

「フェアの料理は、いずれも素材のよさを生かした自信作です。ぜひ、この機会に、イタリア料理の技と福岡県のおいしさが融合した『アクアパッツア』の味を体験していただけたらと思います」

日髙良実さん

日髙良実さん

1986年に渡伊し、「エノテカ・ピンキオーリ」を皮切りに、3年間、数々の名店で研鑽を積む。帰国後、「リストランテ山崎」を経て、1990年、西麻布に「アクアパッツァ」をオープン。2018年には青山に新生「アクアパッツァ」を開き、2020年から始めたYouTubeチャンネル「日髙良実のACQUAPAZZAサブチャンネル」で人気を集めている。

リストランテ アクアパッツア
東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山2F
TEL 03-6434-7506
11:30~15:00(14:00LO)
17:30~23:00(20:30LO) 土日祝は17:00~
無休

取材・文/上村久留美 撮影/木村文吾、濱田陽守