2023年3月7日(火)〜10日(水)の4日間、東京ビッグサイトにて開催されたアジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2023」。
本記事は、同展におけるイタリア館の開催内容を5回にわたりレポートする第4回目。今回は、イタリア館内で一際賑わいを見せた「ピンサコーナー」(一般社団法人日本オリジナーレ・ピンサ・ロマーナ協会協力)についてお届けします。
イタリアで一大ブームを巻き起こした進化系ピッツァ
イタリア料理の代表格として日本でも定番人気を誇る「ピッツァ」。一方で、ピッツァは大好きだけれど、カロリーや重さが気になるという人も少なくないでしょう。健康志向の高いイタリアでも、同様の思いを抱える人が多いようです。
今回イタリア館の「ピンサコーナー」で紹介された「ピンサ・ロマーナ(PINSA ROMANA)」は、ダイエット中の方をはじめ、子どもやお年寄りまで楽しめる、消化に良いピッツァをと、イタリア・ローマの食品メーカー「ディマルコ(Corrado Di Marco S.r.l.)」社が2001年に発表し、コロナ禍に改めて注目を集めた進化系ピッツァ。
見た目も味もほぼピッツァと同じなのに、ピッツァよりもヘルシーという「ピンサ・ロマーナ」は、イタリアで一大ブームを巻き起こした後にヨーロッパ各国やアメリカ、モスクワ、ドバイ、中国、タイといった海外へもその人気を広げています。
表面はカリッ、中はフワフワ♪ 軽〜い食感がたまらない「ピンサ・ロマーナ」
今回のFOODEXでは、イタリア館に出展するさまざまなイタリア製品を使ったオリジナルレシピのピンサ・ロマーナが試食で振る舞われ、各日500枚を用意した生地は飛ぶようになくなり、4日間で2000枚のピンサ・ロマーナが提供されました。
「ピンサ・ロマーナ」は、ひと口食べるとその食感と口当たりの軽さに驚きます。
一般的なピッツァ生地が小麦粉だけでつくられるのに対し、ピンサ・ロマーナの生地は小麦粉のほか、大豆粉や米粉、乾燥マザー酵母が独自の配合でブレンドされた、イタリア製の専用ミックス粉を使用し、生地に80%以上の水分を含む高加水製法でつくられています。 それらの絶妙なバランスが、表面のカリッとしたクリスピー感、中はふんわりと軽い独自の食感、焼き上がりの香り高さなどを生み出しているそうです。
食後に重さを感じるのは、小麦粉に含まれるデンプン質やグルテンが原因とも言われています。そこで、ピンサ・ロマーナは低温でゆっくりゆっくり発酵を進めることで、重さの原因となるデンプン質やグルテンを壊し、消化しやすく軽い生地を実現させました。 一般的なピッツァ生地が約3時間発酵させるところ、ピンサ・ロマーナは約3日間、72時間をかけて発酵させています。
職人要らず! 効率的な簡単オペレーションもブレイクのカギ
ピンサ・ロマーナが世界中に広まったのは、店舗オペレーションの効率の良さも理由に挙げられます。
一般的なピッツァは生地にトッピングを乗せてから石窯で焼くのが通常ですが、ピンサ・ロマーナは2段階焼成を採用しています。
一次焼成は、生地に含まれた空気の層が壊れないようにトッピングを乗せる前に行います。二次焼成は食べる直前。一次焼成で下焼きした生地へトッピングを乗せ、再度300度のオーブンに入れて約2分間焼き、仕上げます。
一次焼成後(トッピング前)の生地は冷凍やチルドなどで保管ができるため、フードロス削減の点でも飲食店の支持を受け、厳しいロックダウンなどで営業が不安定になりがちだったコロナ禍のイタリアにおいても、導入する店舗を増やしました。
トッピングや仕上げの二次焼成は特別な技術は不要なため、専門的な職人を各店舗に配置する必要がなく、また、焼き上がるまでの時間が短いことから、シェフのいないカフェや道の駅、デリバリーやテイクアウト専門店といった幅広い業態で支持されています。
生地と具材を一緒に焼き上げるピッツァと異なり、生地を下焼きしているためフレッシュな野菜やフルーツといった幅広い具材も使用可能で、店舗の個性を打ち出すアレンジも自在です。
一般社団法人日本オリジナーレ・ピンサ・ロマーナ協会では、ピンサ・ロマーナ専用に開発されたミックス粉のイタリアからの直輸入や、ピンサ・ロマーナで開業したい方向けにさまざまな講習を行う「ピンサ・スクール」をオンライン開講するほか、 ピンサ・ロマーナの普及活動や通信販売、ピンサ・ロマーナ専門店(ピンセリア)・ピンサ職人(ピンサイオーロ)の認定事業なども行っています。
一般社団法人日本オリジナーレ・ピンサ・ロマーナ協会
https://pinsaromana.or.jp/