イタリア料理の名店「クリマ ディトスカーナ」で青森フェア開催中!
青森県の食材とイタリア料理の技が織りなす
美食の秋を彩る極上コース

イタリアの星付き店で培った技術と瑞々しい感性、食材を見極める力で、絶品料理を創り続ける「クリマ ディトスカーナ」の佐藤真一さん。そんなシェフを魅了した青森産の食材を取り入れたフェアで、今年もまた新たな美味しさが誕生しました。

コースのひと品「青森産ヒラメとはつ恋ぐりんのヴァポーレ」。ヒラメとはつ恋ぐりん(りんご)の蒸しものを、生クリームにグラナ・パダーノ、酒粕などを合わせたソースが引き立てる。
「クリマ ディ トスカーナ」のショープレートは、あたたかな色合いの手作りの津軽びいどろ。試作を繰り返し、3年かかってようやくイメージ通りのものが完成したそうだ。

米粉用米「あおもりっこ」をミネストラに
食材の新たな可能性拓く

美味しさを追求して美食の世界を展開するのは、料理人にとって、今や当たり前のこと。トップシェフのなかには、それ以外にさまざまな使命を感じている人が多く、佐藤シェフもそのひとり。イタリア料理の豊かさについて発信したり、国産食材の魅力を引き出して、その可能性を広げることに尽力しています。

「イタリア料理の美味しさや伝統、文化を伝えることはもちろん、日本各地の食材とイタリア料理を融合させることも大切だと考えます。生産者さんの話に耳を傾けて、理解し、それをもとに料理を創り上げていく――それが国産食材の可能性を広げることにつながっていると思います」

この言葉通り、佐藤シェフは日本各地の生産者を訪ねて、生の声を聞き、それを印象深い料理へとつなげています。今回も青森フェアに備え、青森の生産者のもとへ。そこで、新たな出会いと発見があったと言います。

フェアを前に青森県へ。りんご農園を訪ねた際、生産者との話は尽きず、1時間ほど語り合った(左が佐藤シェフ)。
陸奥湾産ムール貝の蓄養施設も視察。「旨味があって塩味もちょうどよいので、ムール貝はよく使います」とシェフ。

たとえば、フェアのひと皿、「陸奥湾産ムール貝とあおもりっこのミネストラ」も、新たな出会いの結果に誕生しました。
「気に入っている青森産の食材に、ムール貝や赤カブなどがあります。一方、米粉用米のあおもりっこについては、今回の視察で初めて知り、その食感に惹かれるものがありました。それで使い慣れたムール貝や赤カブと合わせてみようと思ったんですね」

あおもりっこは、小粒ながらプチプチした食感で、ミネストラをより味わい深いものに。「最初はスペルト小麦を使おうと考えたのですが、あおもりっこを使えば、近年増えているグルテンフリーにこだわるゲストにも安心して楽しんでもらえます」と、今回の出会いに喜びを込めて語ってくれました。

左:「陸奥湾産ムール貝とあおもりっこのミネストラ」では生のままの赤カブを使ったが、真空調理して保存するとより鮮やかな赤になるという。右:あおもりっこは、デンプンの成分であるアミロースの含有率が高いため、パン生地に用いたときには膨らみがよく、製麺などで使用した際には機械への付着が少ないという。

「ただし、美味しいミネストラに仕上げるにはコツがあって、それは、あおもりっこにバターと水を加え、70%の水分量で炊いておくことです。こうすることで香りも食感もよくなるんです。
これを陸奥湾産のムール貝と合わせるのですが、ムール貝についても実際に蓄養施設を訪ねてみて発見がありました。
豊かな陸奥湾で2~3年かけてていねいに育てられているから、プリプリとして濃厚な味わいになるのだと、美味しさの理由に納得がいきました」

左:あおもりっこを炊く際の水とバターの割合は5対1。右:ムール貝は蒸しておく。蒸した際に出た水分とアサリの出汁を鍋に入れて加熱。そこに炊いておいたあおもりっこを入れ、ある程度火が通ったら、赤カブ、蒸したムール貝を加えていく。
「陸奥湾産ムール貝とあおもりっこのミネストラ」。

青森出身のシェフが
りんごのおいしさに改めて驚いた

「りんご農家の方もまた情熱ある生産者さんでしたね。
そこで栽培されたはつ恋ぐりんを食べてみて、酸味と甘味のバランスの絶妙さに驚き、ぜひ、今回のフェアに取り入れたいと思いました」

実は佐藤シェフは青森県の出身です。りんごの美味しさを熟知しているはずのシェフを、とびきりの美味しさで驚かせたというはつ恋ぐりん。佐藤さんの手にかかると、どんな料理になるのでしょうか。
「青森産のヒラメとあわせて蒸し、ヒラメのやわらかな食感とりんごのシャキシャキ感が、同時に味わえるひと皿に仕上げようと考えました。
そのためには蒸す温度と時間の調整が大切で、目安は、72℃で4分間です。 また、この料理には、青森産のぶどうジュースを使ったカクテルがよく合うため、ペアリングの提案もさせていただいています」

左:酸味が特徴のはつ恋ぐりんだが、適度な甘味もあるので、「生でもすごく美味しいんです」と佐藤シェフ。右:大ぶりで質もよいとされる青森産のヒラメ。天然物でその漁獲量は日本一を誇る。
はつ恋ぐりんは千切りにしてシブレットをからめたら、ひらいたヒラメの身で巻く。これをラップで成形して蒸し器へ。
「青森産ヒラメとはつ恋ぐりんのヴァポーレ」には、青森産のぶどうジュースを使った微発砲の人気のカクテル「ブルボスケ」が合う。「ブルボスケ」はイタリア語で、日本語にすると「青森」。

月輪熊の肉をジビエ料理に
ぶどうは皮も種も一緒に調理

今回のフェアでは、シェフが得意とするジビエ料理も含まれていて、それが、「岩木山の月輪熊ラグーのラヴィオリ オータムトリュフ」。
2日間、赤ワインと香味野菜で煮込んだ月輪熊の肉のラグーに、リコッタチーズとホウレンソウのクラシックなラビオリを合わせた料理です。

「岩木山の月輪熊ラグーのラヴィオリ オータムトリュフ」。濃厚なラグーソースとトリュフの香りが調和する秋にふさわしい贅沢なひと皿。

また、つねに上品な美しさを放つシェフの料理ですが、ときに計算された素朴さが隠されていることがあり、今回のフェアでは、「青森産スチューベンのスキアッチャータ 青森産月桂樹と栗のハチミツのジェラート」がまさにそれ。

「つぶれたパンを意味するスキアッチャータは、トスカーナ地方ではフォカッチャと同義語として使われることもあります。
今回はこのスキアッチャータにスチューベンを皮つき、種つきのまま使いました。イタリア人は種入りのドルチェをカリカリと食べたりするので、そんな雰囲気を今回のフェアで味わっていただくのもいいかなと思ったんです」

「ドルチェに青森産のスチューベンを使うのは初めて。昔なつかしいぶどうの味わいにインスピレーションを受けました」と佐藤シェフ。

縦にカットしたスチューベンを小麦粉、ベーキングパウダー、ブラウンシュガー、サラダオイルなどと混ぜて170℃のオーブンで20分ほど焼いたスキアッチャータ。ねっとりした生地をかみしめると、口の中でスチューベンの種が小気味よい音を立てて砕けます。
ぶどうの種入りのドルチェ――洗練の中に感じる素朴さが、ゲストにはたまらなく楽しかったりするものです。

「青森産スチューベンのスキアッチャータ 青森産月桂樹と栗のハチミツのジェラート」。スキアッチャータには風味豊かなはちみつのジェラートがよく合う。

フェアで紹介するひと皿ひと皿に、佐藤シェフは食材への愛情と生産者への理解を込めています。イタリア料理の伝統を重んじつつ、日本の食材に寄り添った料理は、いずれもフェアに訪れた人たちの記憶に残ることでしょう。

佐藤真一さん

1978年、青森県生まれ。赤坂のイタリアンレストランを経て1998年渡伊。「ダル ペスカトーレ」「エノテーカ ピンキオーリ」などの三ツ星店で5年半ほど研鑽を積み、帰国。「リストランテ山崎」「アクアプランネット」を経て、2006年、「イル デジデリオ」のオープンと同時に総料理長に就任した。2017年、「クリマ ディ トスカーナ」で独立。ソムリエの資格も有し、イタリアの豊かな食文化について発信を続けている。

Clima di Toscana クリマ ディトスカーナ
東京都文京区本郷1-28-32-101
12:00~15:00(13:00 LO)
18:00~23:00(20:30 LO)

日・隔週月休
https://www.clima-di-toscana.jp

青森フェア 開催期間 2025年11月6日~12月中旬

問い合わせ先
青森県農林水産部食ブランド・流通推進課
TEL 017-734-9573

取材・文/上村久留美 撮影/依田佳子


●イタリア料理専門展「第14回 ACCI Gusto2025」
 日時:11月26日(水)~27日(木) 
 会場:都立産業貿易センター浜松町館
 青森県もブース出展(2F)しますので、ぜひお立ち寄りください。

 開催概要はこちら → イタリア料理専門展「第14回 ACCI Gusto2025」

●「クリマ・ディ・トスカーナ」佐藤真一シェフによるデモンストレーションも開催
 日時:11月26日(水) 11:30~12:10
 「第14回 ACCI Gusto2025」にて佐藤シェフによる
 青森県食材を使ったデモンストレーションも行います。
 先着で試食もございますのでぜひお越しください。

 詳細はこちら → デモンストレーション